「ナショナル・ゴール」研究

本会では、本格的な国際化時代が到来した70年代末から、まず3年間をかけて、「ナショナル・ゴール」研究に取り組みました。当時、わが国は、国内的には、防衛、教育など、国家の根幹に関わる問題について、国論が分裂するとともに、国際的には、冷戦と南北問題が激化し、国の進路が大きく揺れていました。

「ナショナル・ゴール」研究は、激動する国内外の情勢の中で、海図なき航海に乗り出したわが国の独立と、安定、繁栄への道を探り、指針を作成すべく、各専門研究をバックにした総勢約2000名に及ぶ学者による問題解決型の共同研究、学際研究として行われたものです。
その成果は、『国際化時代と日本−10年後の国家目標』としてまとめ、各界に提言しました。


「東アジア総合研究」

現代は、文明の大きな転換期にさしかかっています。アジア太平洋時代が唱えられる中、本会は、80年代に入って、「東アジア総合研究」に取り組みました。

東アジアには文化、政治、経済全般 にわたって、21世紀に向かう世界の行方を決する重大な要因が集積しています。しかるに、東アジアは、西洋と違って多様性が大きく、過去の歴史的経緯もあって、まとまりに乏しいのが実状です。しかし、古代の、特に北東アジアにおいては、活発な文化交流が行われ、共通 の文化圏が形成されていました。

東アジアは今後、世界に貢献しうる多大な可能性を秘めており、そのことをこの地域の各国が自覚し、共通 のビジョンを探ることが重要な課題となっています。また、わが国は、東アジアの一員でありながら、この地域の諸国との連帯をどのように進めていくかという展望や、対東アジア政策に対する評価基準も明確になっていません。

こうした背景を踏まえて、「東アジア総合研究」では、文化・歴史、経済、政治など全般 にわたる総合的、学際的な研究を進めました。

1989年には、「東アジア共同体への障害と共同体形成のシナリオ」をテーマに、日本、韓国、中国、台湾、アセアン諸国の学者が参加した国際会議を日本で開催、その成果 を『東アジア総合研究・中間シンポジウム』にまとめました。

また、文化・歴史部門については、独自に『古代朝鮮と日本』を出版しています。


「グローバル・ゴール」研究

科学技術の進歩と経済発展の高度化にともない、世界各国はますます相互依存関係を深めています。地球時代を迎えて、わが国の進路を考える上でも、国家目標の中に、地球的規模での配慮が求められるようになっています。

こうした問題意識の下に、本会では、80年代から90年代にかけて「グローバル・ゴール」研究に取り組んできました。研究に際して、約2000名の会員および有識者に行ったアンケート調査によれば、21世紀に向けて人類が直面 する主要な危機として、次の点が指摘されました。

第一に、地球環境の破壊とそれに関連した資源・エネルギー危機、人口問題。第二に、道徳的危機。第三に、教育の危機。そして、これらの本質的原因としての「人間の精神面 での問題」です。

地球時代に必要なものは、何よりも精神革命を通 じての新たな価値観、世界観、人間観の創成であると考えられます。それは、物質文明、機械文明を発展させた西洋文明への反省を含み、「人間中心主義」「現世中心主義」を超えた、「利他主義」ともいうべき基本的価値体系の構築を意味しています。

「グローバル・ゴール」研究では、その課題に取り組みました。その成果 は、『地球時代宣言−精神革命への挑戦』にまとめられています。


21世紀ビジョンの会

現代は歴史の大きな転換期にありながら、わが国は国家としての基軸を欠いたまま、未来への方向を見出しえないでいます。今日、わが国に求められているのは、21世紀のフィロソフィとそれに基づく国家としてのグランドデザインです。そのためには、過去の歴史と伝統の中から良きものを再評価し継承すると同時に、斬新な発想の転換あるいは大きな夢(ロマン)が必要とされています。

ここで、新たな世界秩序や日本の国家像を考える上でのキーワードの一つとして「グッド・ガバナンス」をあげたい。ここでいう「グッド・ガバナンス」とは、まず自分自身を良く治めるところから始まり、個性(独創性)と公共性が調和し、開かれた愛国心と人類愛を養う場としての家庭において、そのモデルが築かれます。そのような家庭を基盤として社会や国家、世界におけるグッド・ガバナンスも築かれてゆくと考えます。こうした視座に立って、転換期おけるわが国のグランドデザインと戦略、すなわち「21世紀日本のビジョン」を明らかにすべく、2004年春より「21世紀ビジョンの会」を始めました。

この会では、その時々の緊急課題をはじめ日本の直面 する重要課題について政策立案者および専門家などを中心に提言をまとめます。主なテーマとしては、次のようなものがあります。

1.日本の戦略(外交・安全保障政策)
 1)グローバル・ガバナンスと日本の戦略
 2)リージョナル・ガバナンスと日本の戦略
   ―東アジア共同体の形成、朝鮮半島の平和統一に向けて
2.家庭の再建と教育の改革(憲法・教育改革、社会政策等)
 1)家庭を基盤とした倫理社会の形成
 2)独創性と人格性を有した国際的指導者の育成
3.人間と自然に優しい経済・技術社会の実現(経済・財政・環境政策等)


90年代後半からは、個別的テーマごとに研究を行っており、97年度は「日本人の新しい目標研究」、98年度は「新しい世紀に向けた道徳教育」をテーマとして研究を行い、特に後者の研究においては、「新しい道徳教育」に関する提言をまとめました。更に2000年1月には『「新しい道徳教育」への提言―「人格教育」をどう進めるか―』を単行本として出版しました。

また、98年度より並行して、大学改革問題を中心とする高等教育についての研究を始めました。それらの内容を中心として2001年6月、中間段階のものとして「高等教育についての提言」(中間報告)をまとめましたが、その後も継続的に研究を進めています。