宗教教育の強要は違法―ミッションスクールにおける宗教教育に制限

 4月22日韓国大法院(最高裁判所)は,「宗教財団が設立した私立学校(宗立学校)であっても,学生に対して宗教教育を思いのままに強要することはできない」との判決を出した。宗立学校は,宗教教育を進める場合これを拒否する学生から損害賠償請求訴訟を受ける事例も起きることが予想される。この判決は,宗教という微妙な事案を扱ったせいなのか,大法官の意見が争点別 に大きく対立した。

 私立学校の宗教教育が過去に問題となった事例としては,当該宗教の信徒の子どもたちが通 っていた学校に,高校標準化制度(注:韓国では高校入試を廃止し,地域別 に高校を指定し,抽選で学生を最寄の学校に振り分けて入学させている)の配定によって他の宗教を信仰する子どもが通 うようになったケース,あるいは宗教を持たない子どもが入学したケースなどであった。

 大法院は,「高校標準化制度それ自体は合憲であるとし,宗教教育を実施する学校の権利と子どものもつべき信教の自由の間に適切なバランスを取るべきだ」とした。さらに「たとえ,宗立学校に宗教教育の自由,私学の自由があるとはいえ,子どもの基本権を侵害しない範囲でのみ行使されるべきだ」と判示した。

 そしてその基準として,?宗教教育の分量 と比重,?子どもに対する事前説明と同意の手続きをしたか否か,?宗教教育の拒否,あるいは代替科目の選択が可能かどうか,?宗教教育拒否に伴う不利益が存在するか否か,などを示し,これらの基準に照らし合わせて,度を越して強要された宗教教育は違法であるとした。

 今後宗立学校が宗教教育を行なおうとする場合に,必ず子どもたちに同意を求めなければならず,宗教教育を拒否する場合には,子どもに対して代替科目を準備しなければならない。宗立学校がこれを守らない場合には,損害賠償請求訴訟を提起されることにもなりかねない。
 大法院関係者は,「この判決によって,学校の現場において宗教教育をめぐる葛藤を解消することが可能になるだろう」と語った。

 大法院の全員合議制では,大きく三つの争点について検討した。第一に,ソウルにあるキリスト教系の私立学校における宗教教育の適法性について,第二に,宗教教育を拒否し「一人デモ」を行なったK君に対する退学処分が適当かどうか,第三に,同学校の宗教教育の運営とK君の退学処分などに対するソウル市教育長の管理責任などである。

 三人の大法官は,「宗立学校が一方的に宗教教育を強制することは違法である。しかし,当該学校の宗教教育は強制の程度にまで及ばなかった」とした。一方,進歩的大法官たちは,「ソウル市教育長に対しては責任を問うべきだ」とし,さらに少数意見として「教育長がK君の退学について特段の措置をとらず,宗教を理由にした転校すら許可しなかった。これは故意であれ,過失であれ,法令に違反する行為である」と強調した。

(2010年4月23日付,韓国「世界日報」より)