韓半島統一後の選挙制度のビジョン

 2010年10月,韓国・統一研究院は,「統一に対備した選挙インフラ構築研究報告書」を発表したが,これは将来,北朝鮮が急激な崩壊に直面した場合を想定し韓国が北朝鮮を吸収統一するという前提で構想されたものである。そのため,権力構造についての論議および統一に向けたプロセスで予想される混乱を最小化することができる制度とはどのようなものかについて焦点を当てている。以下,報告書の主な内容を紹介する。

内閣制を基準とした政治体制
 統一後,さまざまな政治勢力の登場が予想され,政治状況は,地域間,階層間,世代間の葛藤が複雑に絡み合い,さまざまな利害関係を代弁する多党制の形態へと再編されるだろう。  この状況で大統領と政権与党が過半数を占めることは難しいので,連立政権になることは不可避であるから,各勢力の利益を代弁し,政治折衝において有利な議院内閣制が最も適合した権力構造ではないか。しかし,内閣制を選択した場合に,政権交代が頻繁となるだろうが,韓国の内閣制運営の経験不足のために,政局の不安定化が予想され,それは大きな課題となる。そこで大統領制に固守した場合には,北の住民の疎外感を減らすためにも,正・副大統領制の導入を検討する必要がある。  もし北と南の政治家が互に手を組んで政治グループを形成して大統領選に出馬したときには,北と南の両地域の統合に積極的な役割を果たすことが可能だろう。  また,選挙区の選定については,統合の過程で新しい行政区分を設定するのは困難と予想されるので,北の既存の行政区域を基準とすべきである。効率的な議会運営と南北間のバランスの原則を考慮して,1選挙区当たり14〜15万人とし,国会議員の定数は,選挙区と比例代表がそれぞれ400ずつとし総800人が適当であろう。選挙区の国会議員は,地域別に最大票の獲得者を選出する方法で選び,比例代表制は,ドイツのように道単位で候補者名簿を作成した後,得票比率に従って選出する。

北朝鮮の過去清算が必要
 統一後,北朝鮮地域の民主的転換のためには,北朝鮮の体制について過去の清算が必要だ。具体的には,朝鮮労働党と平壌政権を接収して,それらの人民に対する影響力を断たなければならない。旧政権の既得権を享受していた労働党は,自由選挙を通じて政治的な再起を図る可能性もあるので,予めその芽を摘んでおく必要がある。  そこで国会内に,「朝鮮労働党独裁体制清算特別委員会」を設置し,?労働党および外郭団体の解散と所有財産の没収,?党・軍・政府の高級幹部の選出と政治活動の禁止,?政治犯に対する復権法制定などを,推進しなければならない。  北の住民に対する民主的市民教育を実施し,労働党以外の既存の「衛星政党」や各種政治社会団体に対して支援を強化し,北における民主化の雰囲気を醸成していかなければならない。

(韓国「世界日報」2010年10月25日より)