「口蹄疫蔓延は人間の貪欲のせい」と反省する韓国宗教界

 2010年11月に発生した口蹄疫による家畜の処分の総頭数が,2011年1月現在で200万頭に達するほどである。今後,どのように展開するか未知数であるが,この問題は韓国の宗教界に「生命の本質を考えさせる契機」となったことは確かだ。仏教では生命に対する畏敬の念,キリスト教では聖書・創世記1章28節にある「(自然の)支配者としての人間の役割」を正しく理解しないととんでもないことになるという理解である。
 口蹄疫の蔓延とともに,教会・寺院などの宗教儀式に参加する人の数がめっきり減少している。感染をおそれてのこととされる。とくにキリスト教界は,被害発生の農村地域における礼拝参加率は平均30〜40%,多い地域では50%の減少率を示す。このような状況は,仏教界でも同様である。
 人間社会に大きな影響を与えた口蹄疫蔓延問題は,結局,人間中心思想に起因するとの反省を促した。2011年1月13日,韓国キリスト教教会協議会のセミナーでは,口蹄疫を「相互依存的な生態系において,他の生命を破壊し自分だけが生き残るという人間の自己中心的欲心に起因する犯罪」であると理解する意見が出た。とりわけ人間以外の自然に対する生命思想の脆弱なキリスト教においては,これまでの人間中心原理からより幅の広い生命思想へとパラダイム転換を図らなければならない。同協議会は,神様が動植物に賦与された生命の意味を再吟味し,生態的な覚醒と実践の必要性を強調した。
 1月18日には,参与仏教在家連帯,第三時代キリスト教研究所,ウリ神学研究所が共催する,「反生命的畜産政策の終わりを祈願する汎宗教人緊急討論会」に参加した仏教,キリスト教,圓仏教,天道教などの宗教人たちも,政府の畜産政策を強く批判し,生命に対する畏敬心を強調した。
 現時点で,宗教界ができることは,口蹄疫の終息を祈願し犠牲になった家畜を慰労することだけかもしれない。自己中心にとらわれて結局は動物を殺すことになった人間の行為を懺悔するしかない。
 曹渓宗は,これまで各寺院単位で行なってきた「薦度齋」(注:仏教において死者の霊魂の極楽往生を願う儀式)を宗団次元に拡大した。19日には,ソウル・曹渓寺において口蹄疫の被害を受けた農・畜産民2000人余りが集まり「口蹄疫終息発願および犠牲動物薦度齋」を執り行う。
 キリスト教界では,韓国キリスト教総連合会が1月16日に,「断食週間」を宣布して,断食献金を募り農畜産民と防疫従事者を慰問した。大韓イエス教長老会統合側では,17日から22日までを口蹄疫拡散防止断食祈祷週間と定めた。韓国キリスト教教会協議会は,今後所属する7つの会員教団ととともに口蹄疫後続対策を持続的に論議することにし,具体的な実践方案を提示することにしている。

(韓国「セゲイルボ」2011年1月19日付)