奇跡の微生物が福島原発放射能汚染を救う

 1945年8月6日,広島原爆投下の前の晩,広島大学の職員8名が,日本の伝統的発酵酒である酒に酔ったまま眠りについた。翌朝,原爆投下地点から半径1キロメートル,すなわち「ゼロ・ゾーン」の中にいた人は全員死亡したが,彼ら8名は深刻な被曝にもかかわらず生き残った。なぜか? その原因については,発酵酒の中の微生物,そして彼らが生産した酵素の複合作用ではないかとの推測がなされた。

微生物で放射能抑制技術を開発
 原爆投下後,米国政府は,少なくとも100年間は広島と長崎は廃墟と化した都市となり,そこにはいかなる生命も発見されないだろうと予測した。しかし半年後に,小さな植物が芽を出し始めた。そして1年後には,放射能の数値が急減して人間が住むことのできるまでの環境に変化した。日本の微生物学者である高嶋康豪博士によれば,土壌の中の抗放射能微生物の作用によって,放射性物質が次第に減少したためだという。しかし,最初の原爆実験が行なわれた米国・ネバダ砂漠や最悪の原発事故となった旧ソ連・チェルノブイリでは,そのような「奇跡」は起こらなかった。それは奇跡を起こす微生物がなかったためであった。
 46億年前,初めて誕生した原始地球は,放射能で充満し有毒ガスと毒劇物の塊であった。しかし,微生物は有毒な放射能を「食べ物」のように摂取・排泄して有機物に変え,それによって今日の生命あふれる緑の環境が生まれたのである。微生物は,ゴミを分解し毒素を浄化し,地球環境を守る役割を果たしている。
 このような微生物の浄化能力を極大化した技術が,高嶋康豪博士によって開発された。多様な微生物を活用したこの技術の有効性は,2001年に台湾・原子能委員会の核能研究所との共同試験によって立証された。一方,2008年には,韓国原子力研究所が,地下の深いところで高レベルの核廃棄物の放射能を抑制する微生物を大量に発見した。この微生物は,金属還元反応によってイオン状態のクロム,ウラニウムなど,高レベル核物質を固体に沈殿させることによって,放射能汚染の拡散を防ぐことができるという。米国・NASAの実験によれば,このような微生物は,宇宙のような強い放射能環境においても生存できるとされ,たとえ目に見えない小さな生物ではあるが,神秘な力をもっているようだ。
 現在,福島原発において,最後の決死隊が死闘を繰り広げており,全世界がその成功を切実な思いで祈っている。しかし最悪の状況を避けられたとしても,今後廃棄された原発の処理と汚染された土壌の浄化は,もう一つの重要な課題となる。今回流出した放射性物質の中で,セシウムの場合,半減期間が30年に及ぶ。30年が経過しても,放射能は依然として半分残っており,今後数十年間は放射能汚染の苦しみに悩むことになる。チェルノブイリ原発事故の場合,原発の爆発直後,セシウムの流出によって31名が即死,事故後5年間で7000人余りが死亡し,30年余り経過した現在でも,70万人に及ぶ後遺症に苦しんでいるという。日本の菅直人首相は,「最悪の場合,東日本が滅びるかもしれない」と言ったことも,放射能汚染の長期的な影響を心配するものである。

核の恐怖の現実と現実への応用の道
 日本においては,微生物を活用して放射能低減技術の科学的究明が完全ではないという理由で,現実への適用に対して否定的な意見がある。しかし,準戦時状態のような非常事態の中で,科学的究明の不完全さだけをことさら取り上げて,すでに有効性が確認された技術を無視する態度は,非常に残念と言わざるを得ない。現在のところ確実な解決方法がない中で,複合微生物技術こそ,最も安全な選択肢であると思われる。なぜならば,土壌の中で微生物を活用することは,副作用がほとんどない環境にやさしい技術だからである。
 福島原発の放射能問題を克服するために取り組む最後の決死隊の活動は,人間の意志の面で感動的である。しかし,もし科学技術の面で「微生物決死隊」が福島原発放射能問題を救うことができたとすれば,これは未来のエネルギーのために人類の祝福となるに違いない。

(韓国・元科学技術部長官・李祥羲,韓国「世界日報」2011年3月28日付)