韓国の大学で「北韓学科」が大きく衰退

 1990年代半ば以降,脱冷戦の雰囲気に乗じて生まれた大学の北韓学科が存亡の危機に直面している。南北統一時代に備えるという趣旨で新設された同学科であったが,統廃合・廃止の「津波」に襲われるという事態が起こりつつある。
 南北分断の特殊性を考慮した北韓専門家の養成に,大きな穴が開いてしまうのではないかとの憂慮の声が出始めている。南北関係の閉塞状態を反映した動きとの指摘もある。

 国内で最初に北韓学科を創設した東国大学は,今年初めから推進してきた「学問分野見直し案」に従い,2013年から北韓学科専攻新入生の募集を停止し,他の学科と連携した専攻科に転換する方針を当該学科に提示し,最終的意見の調整に入ったことが分かった。この方針通りになると,北韓学科は新入生がなくなり廃科の手続きに入ることになる。
 東国大学北韓学科は,金日成主席の死去を前後して,南北関係が激浪に巻き込まれた1994年に統一に備え南北交流協力実務人材を育成し,南北関係の分析能力をもった専門家を育てるという特殊目的のために設立された。それほどに南北関係を象徴する学科であったわけだ。
 その後,明知大学,関東大学,高麗大学,鮮文大学,朝鮮大学などで,相次いで北韓学科が開設されたが,1999年以後,東国大学と高麗大学を除くそれ以外の大学は,北韓学科の統廃合,あるいは廃止した。明知大学は,2010年に北韓学科が政治外交学科に統廃合され,北韓学専攻の新入生の募集を止めていた。
 北韓に関する専門家は,北韓学科国内開設第1号の大学という象徴性をもつ東国大学の学科廃止の動きを深刻に受け止めている。北韓関連研究の全般的な衰退につながるのではないかという懸念からである。

 コ・ユハン東国大学北韓学科教授は,「南北関係が良い時には,北韓学専攻者の採用需要が多く,卒業後の進路も多様であったが,ここ数年間に南北関係が閉塞状態に陥る中で,北韓学科もその影響を受けたようだ。北韓学がもつ特殊性を考慮して市場論理だけで対応するのは問題だ」と語った。
 ユ・ホヨル高麗大学北韓学教授も「中長期的には南北統一に備え,統一準備要員を体系的に養成するという大きな目標のもとで,北韓学に配慮した政策的支援が切実だ」と強調した。
 また,北韓学の危機をチャンスとしてみなければならないとの指摘もある。イ・ジス明知大学北韓学科教授は,「かえって今回のことを,北韓学を発展させる契機としなければならない。北韓学を北韓学専攻者だけが勉強する科目とするのではなく,すべての学生が北韓に対する基本常識と素養を備えられるように,北韓学を大学の教養必須科目とする方針を推進することがふさわしい」と提案した。

<主な大学の北韓学科の現況>
東国大学:1994年国内初として新設。現在廃止に向けて推進中。
明知大学:1995年新設。2010年政治外交学科に統廃合。
関東大学:1996年新設。2006年廃止。
高麗大学:1997年新設。
鮮文大学:1998年新設。2008年東アジア学科として改編。
朝鮮大学:1998年新設。99年廃止。

(韓国「世界日報」2011年10月5日付より)