米国公立大学,予算削減で財政難が深刻化

 州政府予算によって運営されている米国公立大学が重大な転換期を迎えている。景気後退と州政府予算不足により支援金(予算)が大幅に減っているためだ。公立大学の学費が天上知らずで値上がりする一方で,講座の廃止,教職員の削減などの自救策に取り組んでいる。そのような中,企業のように運営される「営利大学」が次々と登場している。また名門の私立大学は講義を無料でオンライン・サービスをするなど経営戦略を拡大しつつある。米国公立大学の現状と展望をみてみる。

○州政府支援金(予算)削減と学費値上げ

 米国の公立大学は,大学全体の約80%を占め,大学の研究開発部門においては約60%を占める。公立大学が州政府の予算額削減により苦戦している。2011年度の公立大学生一人当たり予算額は6290ドルだ。1986年度の8025ドルと比べて最低水準まで落ち込んだ。2008〜12年の州政府の予算は15%削減されて725億ドルとなった(米議会専門誌「CQリサーチャー」)。
 大学別の削減額は大学によって千差万別だ。バージニア大学は,過去4年間で22%削減,ニューハンプシャー州立大学は2011〜12年度でそれまでの半分程度に削減された。ルイジアナ州立大学は,09年以降43%削減,フロリダ州立大学は09年以降29%削減された。
 予算削減に伴い各大学は学費値上げを実施。10年前までは10年以上の居住地に住む学生基準で5.6%の値上がりだったが,2011年度には8.3%の値上がりとなった。それに伴い,学生の借金も増えつつある。米国の大学生及び大卒者の学費の借金総額は1兆ドルを超える。学生だけではなく,大学当局の借金負担も増えつつある。2001年から最近までの間に3070億ドルに達した。

○大学教職員の俸給は「モラル・ハザード」

 公立大学当局と学生は,借金の山に押しつぶされつつあるわけだが,教授陣など教職員の俸給は引き上げられている。クィーンズ大学のアンドリュー・ヘッカー教授によれば,メリーランド大学の正教授の平均年俸は14万2600ドル,ニュージャージ工科大学16万6000ドル,ミシガン大学14万8000ドルなどという。2011年12年の大学教職員の俸給はインフレを考慮して1.2%削減された(セメスター当たり)。また大学総長の俸給は,2010・11年度のセメスター当たり3%引き上げられ,平均年俸は42万1395ドルで,オハイオ州立大学総長の場合200万ドルだ。
 公立大学が最近まで教職員の年俸を引き上げるなど放漫経営だったことが明らかになった。ミシガン州立大学などは,2005〜10年に教職員の年俸を平均約30%,成果金は約22%引き上げ,教職員数を19%程度増やした。しかしこの間の州政府予算は増えていない。
 問題は大学運営予算の約三分の一が教職員の俸給で占められている点だ。大学当局は,有能な教授を集めようとすれば年俸を引き上げざるを得ないと主張する。しかし大学当局と学生の借金は増えるばかりで,教職員もその苦しみを分かち合う必要があるとの声も出ている。

○破産の危機に直面する大学

 ボストンにあるコンサルティング会社が,米国1700の公立大学を対象に経営診断を行なった結果,約三分の一の大学が,現在の財務状況を持続的に維持できないという。約28%の大学は,ほどなく財政難にぶち当たる可能性が大きいと分析している。公立大学の50%以上は,深刻な財政難を抱えていることになる。この間多くの公立大学は,新校舎を建設し,新しい施設を導入しプログラムを拡大するなど,外的拡大一辺倒の戦略に走ってきたが,今やこれ以上その発展モデルを追求することはできなくなった。
 一部公立大学では学生数が減りつつあるが,看板ともいうべき州立大学の学生数は減少していない。しかし規模が相対的に小さく,あまり名の通らない大学やコミュニティ・カレッジなどは,学生数が減少している。オハイオ州では,州立大学全体の学生数が5.9%減少し,同州のコミュニティ・カレッジの中には20%以上減少したところもあるという。ミシガン州,ウィスコンシン州,アリゾナ州などでも一部の大学で学生数が減少している。人口減少などによって昨年度(2012年)の学生数が減少した大学は40%を超えた。
 しかし,米国の公立大学がなくなると見る専門家はほとんどいない。その核心的理由は,外国人留学生の払う学費の方が米国人のそれよりも多いためだ。米国の公立・私立大学全体で2011・12年度にセメスター単位の外国人留学生の登録数は76万4495人だ(国際教育院調査)。その内訳は,中国人19万4029人,インド人10万270人,韓国人7万2295人などとなっている。とくに中国人の場合,4年前の数字が9955人だったことを考えると驚異的な増加率だ。
(韓国「世界日報」2013年3月25日付より)