朝鮮半島南北統一の展望:相互補完的「陰陽統一論」

 甲午年(2014)に入り,南北統一論とともに韓国の未来についての青写真が,新聞・放送など各種メディアにさまざまに描き出されている。これはどれほど韓国人が統一に対する熱望と夢に膨らんでいるのかを証明するものだ。統一されなければならないという時代的な召命意識と民族の生存と繁栄がここに懸かっていることを本能的に感じているからなのだろう。
 ところで統一論の主たる関心事は,主に経済的数値を中心に展開されているようだ。各メディアは,統一について予言的展望とともに2020年あるいは2030年までの長期的展望を示し,統一韓国が世界で第5位の大国になるだろうとの青写真を描いている。
 「夢を描けば必ず成る」という言葉のとおり,統一を肯定的に見る視点とともに,希望に満ちた出発は一年の劈頭にあたり気分のいいことでもある。しかし統一論の大部分が統一を既定事実化してバラ色に彩色することに余念がないならば,あまりにも安易だと言わざるを得ない。
 例えば,統一をどうのように平和的に達成すべきかについて,具体的な代案がない。平和統一論は,より少ない費用で統一を達成することが重要なのだが,統一後の南北の統治形態のあり方と漸進的発展,そして韓国文化の拡大再生産のためにも平和統一は重要だ。

「優越感」を離れた相互補完の立場からアプローチ

 これまで「豊かな韓国」は「貧しい北朝鮮」にいろいろと経済的な援助をしてきたことは確かだ。しかし一方的な援助方式が単純に賢明なやり方とはいえず,北の核保有を阻止することができないばかりか,せいぜい経済的に援助して北の自尊心を叩くことによって南北の信頼関係を増進することには逆効果だった。
 現在,論議されている統一の「べき論」と「戦略論」では,統一韓国をつくることはできない。何よりも「統一哲学」が先決だ。統一哲学として最も緊急な点は,南北体制の和解と融合のための共同に崇拝できる人物と共同善の目標がないということで,それが問題でもある。例えば,檀君思想がその役割を果たせればそれでもいいが,現在,それは難しい。さらに左右両派を克服する第三の創造的なイデオロギー的代案もない。従って,統一新羅時代の元暁(7世紀華厳経の僧侶)のような哲学者の誕生を待つことになる。
 統一哲学が準備されない段階でも,南北を陰陽思想の立場から見つめてみる必要があるように思う。名づけて「陰陽統一論」である。陰陽思想は,南北を優劣の関係ではなく基本的に相互補完的立場に立って統一を望ましいこととして浮かび上がらせることが期待される。南北を一つの離婚状態とし再結合すべき夫婦と見る視点も必要だろう。
 現在の韓国の経済力あるいは国家生産力は,北朝鮮と比べて20-30倍,さらにはそれ以上と見る学者もいる。統一論がどのようなものであれ,いずれにしてもどちらかを中心として統一と国家運営がなされなければならない点は明白だ。水は高いところから低いところに流れる理知と同じである。それゆえ南が「持てる者」の立場で,北を抱擁するする姿勢が求められる。
 しかし陰陽統一論は,民族の内部的に,あるいは一つの家族の立場からアプローチする「内在的接近法」の一つである。また従来の体制競争・権力競争の方式とは違った,平和と平等を実現するアプローチとして,今日の「和諍論」(元暁の思想で,争いを理をもって治めるの意)といえるかもしれない。
 韓国文化は全般的にみて女性的特性を見せるが,それでも南北を比較すれば北は南と比べてかなり男性的,自主的だ。これは北方・高句麗の騎馬民族の伝統が残っているためだろう。南北関係を見ると,まるで北は「男性=夫」で,南は「女性=妻」のような立場に見える。
 南の状況は,豊かに暮らす女性家長で,北は貧しい男性家長のようだ。更に正確に表現すれば,離婚後豊かに暮らす寡婦と貧しい寡夫が,再結合することを統一と見ることが出来る。飢えるほどの北には,南がただ中身もなく「見せかけの派手さを見せびらかす女性」として映るので,北に略奪(赤化)したい思いを起こさせては大変だ。それよりも,「良妻賢母」の姿で,困難を克服する「知恵ある女性」として映るならば,北は自然と女性を慕ってくるようになるに違いない。

和解と融合による統一の原理を拡大すべき

 最後に,「慈悲深いお母さん」の姿が思い浮かんでくる。お母さんとは,無限な愛で自分自身を犠牲にしながら子どもを育てる典型だ。北がどのような放蕩なことをしたとしても最後まであきらめずに抱擁するならば,北は懺悔するように導いていくことができ,そして最後には勝者となる姿を想像することができる。
 陰陽統一論は,もちろん南北双方がこれまで自分たちが置かれた立場で最善を尽くして,民族と統一のために努力する「両是論」(両者肯定)から出発しなければならない。「是非論」に陥ってはいけない。とくに「両非論」(両否定)に陥ってはダメだ。
 韓半島の統一が,南主導で成されたとしても,一つの明らかなことは,北は主体性を,南は経済的  をわが民族に提供すべきだという点だ。平和統一と南北の共同繁栄という共通の目標を設定した場において,われわれはこれ以上恨み合うことはない。
 南北は,陰陽統一論を通じて,統一の原理を拡大再生産しなければいけない。今後南北関係と南北の統一問題を処理するにおいても,陰陽の相互補完原則によって接近する姿勢が求められる。相互不信をなくすことが出来ず,合意点を導出することに失敗したならば,最悪の事態に直面することもあり得る。南北ともに文化能力の向上は,まさに統一を軟着陸させる第一歩なのである。
(パク・ジョンジン,文化評論家,韓国「世界日報」2014年1月7日)